Episode 2


5年、八島望です。
黒川くんからの突然のご指名でビックリしましたが、第2回ということでちょっとまじめにクラシックの名曲を紹介したいと思います。


今回ご紹介するのは、ヴァイオリンを弾く人なら誰もが知っているであろうメンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」です。

「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」

2年前だったかフィギュアスケートの安藤美姫選手がこの曲で滑っていたので、クラシックを知らない人でも耳にしたことがあるのではないでしょうか。

私もこの曲は大好きで、思い出アルバムにこの曲を選んだのはもちろん私にとって思い出の一曲だからです。
この曲は私がクラシックのコンサートを初めて聴きに行った時の曲です。

なんだ、それだけか。
と思うところなのですが、その初めてのコンサートでは思い出すとちょっと恥ずかしいエピソードがあります。


この曲との出会いは2年生の春。
皆さんもご存知のようにこの時期は解剖のスケッチが大変で、私はこの曲をエンドレスリピートでかけながら毎晩遅くまで机に向かっていました。
この曲とともに2年生の春を乗り切ったといっても過言ではありません。

その忙しい前期が終了する直前、偶然にも山形交響楽団のコンサートのポスターを見つけました。
すると演目の中にこの曲が!
行かなきゃ、と思ってみるとなんと明日。
なんて運命的なんだろうと舞い上がってしまいました。

でもクラシックコンサートには初めて行くわけで、知らないことばかりなわけです。
手探り状態でした。

まず、着ていく服。
フォーマルがいいのかラフな格好でもいいのかとあれこれ悩んでしまい、いろんな人に相談しました。
で、結局ちょっとだけフォーマルにすることにしました。

それからチケット。
当日券があるというのを聞いたのですが、売切れてしまうのではないかと不安になってしまいました。
当日は午後2時開演だったのですが、あまりに心配になった私は午前11時前に会場に行きました。

……誰もいない。

あまりにも人がいないから会場を間違えたんじゃないかとか日時を間違えたんじゃないかとか、ますます不安になりました。
待てど暮らせど誰もこない。
慣れないヒールなもんだから足も痛い。

で、お昼過ぎになってようやくちらほら会場付近に人が見受けられるようになりました。
この頃になると私と同じように当日券を求める誰がが私の前に並んでしまうのではないかという別の不安が出てきて、トイレにも行かずお昼にも行かずとにかく会場の扉にへばり付いていました。

でも、今考えるとその時間に現れた人って山響の団員の方なんですよね。
だって楽器持ってたもん。
今なら見ただけでわかるんだけど、その時は知る由もなく。。。

会場30分前になって当日券を販売するブースが設けられ、私の後ろにもお客さんが何人か並ぶようになりました。
当日券を購入し、やっと気持ちが楽になりました。

そしていよいよ会場の瞬間。
誰よりもこの瞬間を待ち望んでいたのは私なんです。

先陣を切って会場入りした私は、当日券を買った時に事務のおじさんから教えてもらった1番いい席めがけて一直線に進みました。
ホールに足を踏み入れた時、誰もいない客席とオーケストラの舞台を臨んでもうドキドキワクワクが止まりませんでした。

席に着いてから開演までは気がはやるばかりで、何を考えていたのか思い出せません。
演奏は本当にすばらしくて、自分の好きな曲を生で聴けたことが嬉しくて、ちょっとだけ泣いてしまいました。

夢のような時間でした。

今ではコンサートに行くのにも慣れ、この時のような感覚を覚えることは少なくなりました。
でも、生演奏が届けてくれる感動はいつも変わりません。
ハートフルコンサートも患者さんにとっての夢のひとときになればいいな〜と思います。


といった感じで、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲はちょっぴり照れくさい思い出がつまった私のお気に入りの曲です。

後日談ですが、何を思ったのか私はどうしてもその時の演奏がもう一度聴きたくて、秀ちゃんやとみーに相談して、山響に電話をすることにしました。
その時は冷たくあしらわれてしまいましたが、その後、山響からCDが発売されました。

曲目はシューマンの「交響曲第4番ニ短調」。
メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲が演奏された時のメインの曲です。

そっちじゃなかったんだけどな・・・

次回は木管の華、フルートの容子にお願いしようかな。
よろしくお願いします。

Violin  5年  八島 望


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